「人はなぜ汗をかくの?」——大東文化大学経営学部の学生さんに「汗のどんなことを知りたいですか?」と尋ねたところ、41名もの学生さんが、この素朴な疑問を挙げてくれました。
毎日あたりまえのようにかいている汗ですが、「なぜ出るのか」「どうやってつくられるのか」と聞かれると、意外と答えられないものです。汗学シリーズの第1回は、この一番の基本からお答えします。
先に結論
人が汗をかく一番の理由は、上がりすぎた体温を下げるためです。脳の「視床下部(ししょうかぶ)」が体温の上がりすぎを感じとると、全身の汗腺に指令が届き、汗腺が血液をもとに汗をつくって皮膚に出します。その汗が蒸発するときに体の熱を奪い、体を冷やします。汗は、体に備わった「天然のクーラー」なのです。
1. 汗は体の「天然のクーラー」
私たちの体は、運動したり暑い場所にいたりすると、どんどん熱がたまります。体は、皮膚から熱を逃がすことで体温を保っています。熱の逃がし方には「放射」「伝導」「対流」「蒸発」の4つがあり、このうち汗が乾くときに熱を奪う「蒸発」が、汗の役割です。
医療者向けの「MSDマニュアル」によると、まわりの気温が体温より低いときには、熱を逃がす働きの約30%を蒸発が担っています。ところが気温が35℃を超えると、熱を逃がす方法は実質的にすべて汗の蒸発に頼ることになります。気温が体温に近づくと、ほかの方法では熱が逃げにくくなるからです。
一方で、同じマニュアルには「湿度が75%を超えると、蒸発による熱の放散は著しく低下する」とも書かれています。蒸し暑い日に汗がダラダラ流れるのに少しも涼しくならないのは、汗が乾かず、熱を奪えていないからです。
体温調節の基本については、汗学の「発汗による体温調節の基本メカニズム」でも解説しています。
2. 汗が出るまでの5つのステップ
汗は、皮膚が勝手に出しているわけではありません。脳からの指令で出ています。流れを順番に見てみましょう。
- 体温の上昇をキャッチ:皮膚や体の内側で温度が上がったことを、体のセンサーが感じとります。
- 脳の司令塔が判断:体温調節の中枢は、脳の視床下部にあります。視床下部は、体温を「基準の温度」に戻そうとします。
- 神経を通って汗腺へ指令:指令は交感神経を通って全身の汗腺に届きます。
- 汗腺で汗がつくられる:汗腺は血液をもとに「前駆汗(ぜんくかん)」という汗のもとをつくります。前駆汗は塩分が濃いため、皮膚に出るまでの細い管(導管)で塩分(ナトリウム)が体に再吸収され、薄められます。
- 皮膚の上で蒸発:皮膚に出た汗が乾くとき、体の熱を奪って体温が下がります。
4番目の「塩分の再吸収」には続きがあります。たくさん汗をかくと前駆汗の量が増えて、再吸収が追いつかなくなり、塩分の濃い汗になります。汗をたくさんかいたときに、水だけでなく塩分の補給も大切だといわれるのはこのためです。
3. 汗をつくる工場「汗腺」には2種類ある
汗をつくって出す器官を汗腺(かんせん)といいます。汗腺には大きく分けて2つの種類があります。
| エクリン汗腺 | アポクリン汗腺 | |
|---|---|---|
| ある場所 | ほぼ全身。手のひら・足の裏に特に多い | 脇の下、耳の穴、乳輪、陰部など限られた場所。思春期から働きはじめる |
| 汗の特徴 | 水分が多く、さらっとした薄い汗 | 濃い汗。体のにおいに関係する |
| 主な役割 | 体温調節(熱を逃がす) | フェロモンとの関連が指摘されているが、はっきりとは解明されていない |
体温を下げる汗を出しているのは、主にエクリン汗腺です。汗の研究をまとめた論文(Baker, 2019)によると、人のエクリン汗腺は全身で約200万〜400万個あります。最も密集しているのは手のひらと足の裏で、1平方センチメートルあたり約250〜550個もあります。
汗腺についてもっと詳しく知りたい方は、「汗腺について」もご覧ください。汗腺の種類や「汗をかきやすい人・かきにくい人の違い」は、今後のシリーズでも取り上げます。
4. 汗のスイッチは3つ:暑さ・緊張・辛さ
汗が出るのは暑いときだけではありません。汗が出るきっかけ(スイッチ)は、大きく3つあります。
| 汗の種類 | スイッチ | 汗が出やすい場所 |
|---|---|---|
| 温熱性発汗 | 暑さ、運動、労働で体温が上がったとき | 手のひら・足の裏以外の全身 |
| 精神性発汗 | 緊張、不安、痛みなどのストレス | 手のひら、足の裏、脇 |
| 味覚性発汗 | 辛いものなどの刺激(唐辛子の辛味成分カプサイシンなど) | 顔、頭 |
面接やテストの前に手のひらがじっとり湿るのは「精神性発汗」、激辛ラーメンで額から汗が噴き出すのは「味覚性発汗」です。精神性発汗は、暑くない快適な温度でも起こるのが特徴です。
学生さんからは「緊張したときの汗と暑いときの汗は違うの?」「辛いものを食べると汗が出るのはなぜ?」という質問もたくさん届いています。それぞれ、別の回で詳しくお答えする予定です。
5. 汗の力を活かすには「乾くこと」が大切
ここまで見てきたように、汗は蒸発してはじめて体を冷やします。皮膚の上で乾かずに流れ落ちたり、服の中にこもったりした汗は、体温を下げる役にあまり立ちません。
汗の力を活かすために、日常でできることがあります。
- 暑い日は、日なたより風の通る木陰で休む
- 汗が肌にはりつかず、乾きやすい服を選ぶ
- 汗をかいたら、水分と塩分をあわせて補給する
汗学を運営する株式会社ピーカブーでは、「汗を知り、人間の体の機能性を高める衣料を作る」ために汗学を立ち上げました。汗と服の関係は、紫外線対策ウェアの総合ブランドエポカル(EPOCHAL)の服づくりにも活かされています。会社の取り組みは株式会社ピーカブーのサイトでご覧いただけます。
6. 松成からひとこと
「汗学」にとても興味をお持ちいただいた國府教授、そして大東文化大学の学生の皆さんから積極的な質問をいただき、とても嬉しかったです。すべての皆さんの問いに答えられなかったので、ここで答えていきたいと思います。汗に興味を持ち、クーラーや氷水、ジュースに頼るのではなく、人間の持つ素晴らしい人体機能を最大限に使って、この環境の変化に対応して欲しい。またそれをさらに補助する、電気を使わない機能性の高いUVカットウェアを汗学から生みたいと思っています!お楽しみに。(^^)
株式会社ピーカブー 代表取締役 松成紀公子
7. よくある質問
Q. 汗は何からつくられているのですか?
A. 血液をもとにつくられます。汗腺で血液から汗のもと(前駆汗)がつくられ、皮膚に出るまでの管で塩分の一部が体に再吸収されて、薄い汗になります。汗のほとんどは水分です。
Q. 汗腺はいくつくらいありますか?
A. 体温を下げる汗を出すエクリン汗腺は、全身で約200万〜400万個あるとされています。手のひらと足の裏に特に多く集まっています。
Q. 蒸し暑い日に汗をかいても涼しくならないのはなぜ?
A. 汗は蒸発するときに熱を奪います。湿度が高いと汗が乾きにくくなり、熱を逃がす働きが大きく下がります。湿度が75%を超えると、蒸発による熱の放散は著しく低下するとされています。
Q. 暑くないのに汗が出るのはなぜ?
A. 汗のスイッチは暑さだけではありません。緊張や不安で出る「精神性発汗」、辛いものを食べたときに出る「味覚性発汗」があり、暑くなくても汗が出ます。
8. まとめ
- 人が汗をかく一番の理由は、体温を下げるため
- 脳の視床下部が司令塔となり、神経を通じて汗腺に指令を出す
- 汗は血液をもとに汗腺でつくられ、塩分の一部は体に戻される
- 体温を下げる汗を出すのは、全身に約200万〜400万個あるエクリン汗腺
- 汗のスイッチは暑さ・緊張・辛さの3つ
- 汗は乾いてはじめて体を冷やす
次回(11月13日公開予定)は、「汗はどうやって体温を下げる?『気化熱』のしくみ」をお届けします。
【お勧めの汗コントロールUVカットウェア】エポカル ブレッサブルUVメッシュパーカー

https://www.epochal.jp/view/category/BreathableUVmeshparker
大東文化大学経営学部の生徒の41名の方から以下の様なご質問を経て上記の記事にしました。
- 発生する原因、仕組み、寒くても湿度が高いと汗が出る原因、
- 汗が出る仕組みや、汗をかくことで体温をどのように調節しているのかを知りたいです。また、汗の量や成分が人によって違う理由についても知りたいです。
- 匂いがある汗はなぜ出るのか。
代謝がいい人と悪い人の違い。 - 汗が出る仕組みや、汗をかくことで体温をどのように調節しているのかを知りたい。また、暑い時に汗をかきやすい人と、あまり汗をかかない人がいる理由や、汗の量と熱中症の関係についても知りたい。
- なぜ汗をかくのか。汗の主な成分。人がもし汗をかかなかったらどうなってしまうのか。なぜ人によって汗の量と匂いが違うのか。
- 汗には体温調整以外にどのような機能があるかや、なぜ汗をかく量は人によって違うか水分を取ればとるほど汗を出す量は増やせるのかを知りたいと思いました。
- 汗はなぜかくのか、汗をかくことで体温がどのように調節されるのかを知りたいです。また、汗をかきやすい人とかきにくい人の違い、年齢による汗の量や成分の違い、汗と熱中症の関係についても知りたいです。さらに、汗をかいたときに体が疲れる理由や、汗を素早く吸収・乾燥させる服の素材にはどのような特徴があるのか、汗を快適にコントロールする衣料についても知りたいです。
- •汗をかくことで体温がどのように下がるのか
・汗をかきやすい人、かきにくい人の違い
・汗の量と熱中症のなりやすさに関係があるのか
・汗をかいた後にどのような服を着ると快適なのか
・汗の臭いが発生する原因
・汗をかいたときに服の素材によって快適さが変わる理由 - 汗をかくわけ
汗をかく理由
汗が出てくる場所と出にくい場所
汗っかきと汗を全くかかない人の違い
汗が臭い理由
汗を減らすにはどうすれば良いか - 汗が出る仕組みや、汗をかくことで体温をどのように調節しているのかを知りたいです。また、汗の量や成分は人によってどのくらい違うのか、汗の臭いが発生する原因、運動時や暑い環境での汗の違い、汗をかきすぎること・かかなすぎることによる影響、汗と熱中症の関係、汗をかいたときに効率よく体を冷やす方法、汗を吸収・発散しやすい服の素材や構造についても知りたいです
- ・汗をかくと体の何%分の水分が失われているのか
・なぜ汗をかくと臭くなるのか
・なぜ人間に汗をかく機能があるのか - 汗の出る原理
- なぜ人は汗をかくのか
* 汗をかく量には個人差があるのか
子どもと大人で汗のかき方は違うのか
汗をかくことで体温をどのくらい下げられるのか
暑いのに汗をかかなくなるのはなぜか
汗をかきやすい場所、かきにくい場所はあるのか - 汗にはどのような役割があるのか、汗をかく量には個人差があるのか、汗をかきやすい人とかきにくい人の違い、汗の成分、汗と体温調節の関係、汗をかくことで体にどんな変化が起こるのか、汗のにおいが発生する原因、運動時と普段の生活で汗の違いがあるのか、汗をかきすぎることや汗をかかないことによる影響などを知りたいです。また、服の素材によって汗の蒸発しやすさや快適さがどのくらい変わるのかも知りたいです。
- 汗が噴き出る仕組み、抑制する方法、消臭について
- 何で出るのか?
- 汗をかく仕組みや、人によって汗のかきやすさが違う理由について知りたいです。
- 汗はなぜかくのか、汗をかく量にはどのような個人差があるのか、汗をかく場所によって役割が違うのかを知りたいです。また、汗と体温調節の関係、汗をかきやすい人・かきにくい人の違い、運動時と日常生活での汗の違い、汗と熱中症の関係についても興味があります。
さらに、汗の成分にはどのような違いがあるのか、汗による肌への影響、汗のにおいが発生する仕組み、汗をかいたときにどのような服装が快適なのか、素材によって汗の乾き方や体温にどのような違いが出るのかも知りたいです。
特に、子どもと大人では汗のかき方や体温調節にどのような違いがあるのか、汗を利用してより快適で安全に過ごせる衣料を作れるのかについて詳しく知りたいです。 - 汗について、なぜ暑いと汗が出るのか、汗をかくことで体温がどのように下がるのかを知りたいです。また、汗をかく量には個人差があるのか、運動している人とあまり運動しない人では違いがあるのかも気になります。汗の成分や、汗をかいたときに水分だけでなく塩分なども補給した方がよい理由についても知りたいです。さらに、汗をかきやすい場所や、緊張したときにも汗が出る仕組み、汗のにおいが発生する原因についても知りたいです。
- 汗が出る仕組みや、汗をかくことで体温をどのように調節しているのかを知りたいです。また、汗の量や成分に個人差がある理由や、運動時・暑い時・緊張した時で汗のかき方が違う理由についても知りたいです。
- 汗をかきやすい人とかきにくい人の違い
汗のにおいが発生する原因
汗をかいた時にどのような服が適しているのか - ・汗っかきを治す方法
・汗をかかない動物はいるのか
・冬でも汗をかく理由 - 汗はなぜ出るのか
汗をかくことで体温がどのように下がるのか - 汗はなぜ出るのか、汗はどのようにして作られるのか、汗は体のどこから出るのか、汗にはどんな成分が含まれているのか、汗にはどんな役割があるのか、なぜ運動すると汗が出るのか、なぜ暑いと汗が増えるのか
- 汗について、汗をかくことで体温がどのように調節されているのかを知りたい。また、運動したときや暑い場所にいるときだけでなく、緊張したときにも汗をかく理由についても知りたい。さらに、汗の量には個人差があるのか、汗をたくさんかく人のほうが暑さに強いのかも気になる。汗には体温調節以外にどのような役割があるのか、汗の成分は人によって違うのか、汗の臭いが発生する仕組みについても知りたい。また、汗をかいた後に水分や塩分を補給することがなぜ重要なのかについても詳しく知りたい。
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- 体温調節以外で汗が出る理由
- なぜ人は汗をかくのか
汗はどのように作られるのか
汗を出す汗腺にはどんな種類があるのか
暑いときに汗をかく仕組み
運動したときに汗をかく仕組み
緊張したときに手や脇に汗をかく理由
人によって汗の量が違うのはなぜか
汗をかきやすい人とかきにくい人の違い
男女で汗のかき方に違いはあるのか - ・汗をかきやすい人とかきにくい人の違いを知りたい
・汗の臭いが発生する原因を知りたい
・汗の臭いを抑える方法を知りたい - 冷や汗はなぜ出るのか、汗をあまり出さなくする方法、
- ・なぜ人は汗をかくのか
・汗をかくことで体温がどのように調節されるのか
・汗をかきやすい人、かきにくい人の違い
・年齢によって汗のかき方は変わるのか
・子どもと大人で汗の量や成分に違いはあるのか
・汗をかきすぎると体にどのような影響があるのか
・汗をかかないことにも問題があるのか
・汗と熱中症にはどのような関係があるのか
・汗をかいたときに効果的な水分補給の方法
・スポーツをしているときの汗と普段の汗の違い
・汗の臭いはなぜ発生するのか
・汗の臭いを抑える方法
・汗をかいた後に服の中が蒸れる理由 - 多汗症が起きてしまう理由、辛いものを食べると汗が出る理由
- なぜ人間は汗をかくのか
- 汗をかく仕組みや、汗をかく量に個人差がある理由について知りたいです。また、運動した時の汗と緊張した時の汗に違いがあるのか、汗のにおいはなぜ発生するのか、汗をかきやすい体の部位にはどのような特徴があるのかも気になります。さらに、汗と体温調節や熱中症との関係、汗を多くかいた時に必要な水分や塩分、年齢による汗のかき方の違いについても知りたいです。
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- なぜ汗をかくのか、汗の量やにおいに個人差がある理由を知りたい。また、汗と健康や体温調節の関係についても知りたい。
- 私は、汗が出る理由や、汗が体温調節にどのような役割をしているのか知りたいです。また、暑い時にたくさん汗をかく人と、あまり汗をかかない人の違いも知りたいです。汗と熱中症の関係や、汗をかいた時にどのような服を着ると快適なのかについても知りたいです。
大東文化大学の経営学部経営学科の学生からの問い2026年
出典・参考文献
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「熱中症の概要」(David Tanen, MD/2023年3月更新)
- 健康長寿ネット「運動の良い汗と悪い汗」(公益財団法人長寿科学振興財団/2023年3月更新)
- 看護roo!「発汗|体温とその調節」(内田勝雄『図解ワンポイント 生理学 第2版』サイオ出版、2024年)
- Baker LB. Physiology of sweat gland function: The roles of sweating and sweat composition in human health. Temperature. 2019;6(3):211–259.
- 汗学「発汗による体温調節の基本メカニズム」
- 汗学「汗腺について」
- 株式会社ピーカブー
写真:Jenny Hill、Maxim Yuryshev、Filip Mroz(いずれも Unsplash、Unsplash License)
汗学は、汗と発汗のしくみについて正しい情報を提供しています
汗を正しく理解して、毎日を快適に健やかに!
松成紀公子

