人間との違いと体温調整の仕組みを解説
「うちの犬、足跡がついてる!」「猫が病院でびしょびしょの肉球に…」そんな経験はありませんか?
実は犬も猫も汗をかきます。でも、その仕組みは人間とは大きく異なります。
この記事では、犬・猫・人間の発汗メカニズムの違いを科学的に解説します。

📌 目次
1. そもそも「汗」とは何か
2. 人間の発汗メカニズム
3. 犬の汗と体温調整
4. 猫の汗と体温調整
5. 人間・犬・猫の比較表
6. 肉球の汗は「精神的なもの」って本当?
7. ペットの熱中症に注意!
8. まとめ
1. そもそも「汗」とは何か
汗は汗腺(かんせん)から分泌される液体です。汗腺には主に2種類あります。
エクリン腺:体温調整を目的とした汗腺。水分・塩分を分泌し、蒸発することで体を冷やします。
アポクリン腺:ストレスや感情に反応する汗腺。脇の下や性器周辺などに集中し、特有のにおいを持ちます。
この2種類の汗腺の分布が、人間とペットで大きく異なることが、体温調整の仕組みの違いにつながっています。
2. 人間の発汗メカニズム
人間は全身にエクリン腺を持つ、地球上でもっとも「汗をかく能力」に優れた動物のひとつです。体温が上昇すると、脳の視床下部がシグナルを送り、全身の汗腺から汗が分泌されます。
特徴:全身で発汗できるため、激しい運動をしても体温を効率よく下げられます。成人の汗腺の数は約200〜400万個とも言われています。
メリット:炎天下でも長時間活動できる(これが人類の狩猟採集に有利だったとする説もあります)。
3. 犬の汗と体温調整
🐶 犬に汗腺はある?
犬にも汗腺はありますが、エクリン腺があるのは「肉球(足の裏)」のみです。犬の体の大部分を覆う皮膚には、アポクリン腺しかありません(人間のアポクリン腺とは働きが異なります)。
🐶 犬の主な体温調整:パンティング
犬が体温を下げる主な方法は「パンティング」です。口を開けてハアハアと速い呼吸をすることで、舌や気道の粘膜から水分を蒸発させ、熱を体外に逃がします。
パンティングの仕組み:口を開ける → 舌を出す → 速い呼吸で空気を流す → 粘膜の水分が蒸発 → 気化熱で冷却
これは人間が全身の皮膚で行う蒸発冷却と同じ原理ですが、犬は「口と気道」に限定して行っています。
🐶 肉球の汗は精神的なもの?
肉球に汗をかくのは本当ですが、それは主に「緊張・恐怖・興奮」といった精神的なストレスに反応してのものです。動物病院の診察台に犬の肉球跡がついていることがありますが、まさにこれが緊張による発汗です。
4. 猫の汗と体温調整

🐱 猫の汗腺
猫も犬と同様、エクリン腺は肉球のみに存在します。犬と同じく、体全体での発汗による体温調整は行いません。
🐱 猫の主な体温調整:グルーミング
猫が体温を下げる主な方法は「グルーミング(毛づくろい)」です。舌を使って全身の毛に唾液を塗り、唾液が蒸発する際の気化熱を利用して体を冷やします。
グルーミングの冷却原理:舌で唾液を毛に塗る → 唾液が蒸発 → 気化熱で体温低下
猫が暑いときに頻繁に毛づくろいをするのは、単なる清潔維持ではなく、体温調整の重要な手段でもあるのです。
🐱 猫も肉球で緊張する
猫も恐怖や緊張を感じると肉球から汗をかきます。猫が嫌いな動物病院では、特にこの反応が顕著に見られます。
5. 人間・犬・猫の比較表
3者の発汗と体温調整の違いをまとめました。
| 項目 | 人間 | 犬 | 猫 |
| 汗腺の種類 | エクリン腺+アポクリン腺 | 肉球のみにエクリン腺 | 肉球のみにエクリン腺 |
| 発汗部位 | 全身 | 肉球のみ | 肉球のみ |
| 体温調整の主な方法 | 全身の発汗(蒸発冷却) | パンティング(ハアハア呼吸) | グルーミング(唾液の蒸発) |
| 汗の役割 | 体温調整が主目的 | 主に精神的なストレス反応 | 主に精神的なストレス反応 |
| 熱中症リスク | 比較的低い | 非常に高い | 高い |
6. 肉球の汗は「精神的なもの」って本当?
半分本当、半分は少し複雑です。
精神的な発汗(主な原因):犬・猫の肉球の汗は、緊張・恐怖・興奮などのストレス反応として分泌されることが最も多く見られます。これはアドレナリンや自律神経の働きによるものです。
体温調整への関与(副次的):完全にゼロではないという研究もありますが、人間のように体温調整の主力にはなっていません。
結論として、「肉球の汗は主に精神的なもの」という認識はほぼ正しいです。ただし、体温調整への貢献もわずかながらあると考えられています。
7. ペットの熱中症に注意!
犬や猫は人間のように全身で汗をかけないため、体温調整能力が限られています。特に夏場は熱中症のリスクが人間より高いです。
熱中症のサイン(犬):激しいパンティング、よだれが多い、ぐったりしている、嘔吐
熱中症のサイン(猫):口を開けてハアハアする(猫は通常しない)、よだれ、ぐったり
対策:涼しい環境を確保する、新鮮な水を常に用意する、炎天下での散歩を避ける(特に地面が熱くなる時間帯)
8. まとめ
犬も猫も汗をかきますが、それは人間とはまったく異なる仕組みです。
・汗腺は肉球のみ(エクリン腺)
・体温調整の主役はパンティング(犬)またはグルーミング(猫)
・肉球の汗は主に精神的なストレス反応
・全身発汗ができないため熱中症リスクが高い
愛犬・愛猫の体の仕組みを理解することで、より適切な健康管理ができます。特に夏の暑い季節は、ペットの体温調整をサポートする環境づくりを心がけましょう。
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汗学
株式会社ピーカブー
